野村不動産に裁量労働制不正適用で是正勧告

野村不動産に裁量労働制不正適用で是正勧告

2017年12月26日、野村不動産が労働基準法違反で東京労働局より是正勧告を受けました。

是正勧告内容

是正勧告を受けたのは不動産大手の野村不動産本社や支社など全国4拠点で、裁量労働制を社員に違法に適用し、残業代の一部を支払わなかったことから、是正勧告されました。宮嶋誠一社長に対し、是正を図るよう25日付で労働局長から特別指導もしたようです。

今回問題となったのは「企画業務型」裁量労働とよばれるもので、全社員約1,900人のうち、課長代理級の「リーダー職」と課長級の「マネジメント職」の社員約600人が適用対象となっていたようです。

企画業務型裁量労働

これについては、以前「トヨタ自動車の新人事制度にみる固定残業(裁量労働)制(その①)」で触れていました。

ざっくり言うと、企業の中枢部門において企画・立案・調査・分析の業務を自律的に行っているホワイトカラー労働者を対象としている点が特徴的な制度です。裏を返すと、それ以外の業務を行っている社員に適用することはできないことから、制度の対象となるか否かは非常に慎重に判断していく必要があるともいえます。

制度詳細については、以下リンクより以前の記事にてご確認いただければと思います。

トヨタ自動車の新人事制度にみる固定残業(裁量労働)制(その①)

 

今回のニュースについて

今回のニュースを耳にして思ったことは、「あ〜あ…」というのが率直な感想です。

前述の通り、企画業務型裁量労働は、正確な知識を基に判断していく必要のある運用の難しい制度なのですが、恐らく強気な上からのプレッシャーがあったのか、担当者が正確な知識を持ち合わせておらず、更に(確認してたとしても)確認がスルーされ、導入に至ってしまったのではないかと思います。((注)あくまで個人的な推測です)

裁量労働制は得てして企業の便利な人件費抑制ツールとして捉えられがちです。次回労基法改正案として「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入も挙がっているようではありますが、国会審議もまだこれからという状況で、実際の法施行はまだまだ先の話です。

働き方改革が叫ばれるなか、今後もこのようなケースはまた発生してくるのではとも思われます。裁量労働制に限らず、制度導入の際にはしっかりと検証して可否の判断をしていきたいものです。